家づくりで予算オーバーは避けられる！見落としがちな「追加費用」の正体と対策

2025年11月2日

「マイホームの契約をしたら、最終的に見積もり金額より200万円も高くなった…」

家づくりは、人生で最も大きな買い物の一つ。希望の予算内で理想の家を建てたいと誰もが願いますが、残念ながら、多くの人が予算オーバーという現実に直面します。その主な原因は、「見落としがちな追加費用」です。

見積もり書に記載されているのは、あくまで建物の本体価格や標準仕様の設備が中心。しかし、それ以外にも、家づくりには様々な費用が発生します。これらの費用を事前に把握し、資金計画にしっかり組み込んでおかなければ、完成間近になって慌ててしまったり、理想を諦めなければならなくなったりします。

本コラムでは、家づくりで多くの人が見落としがちな「追加費用」の正体を徹底的に解説します。そして、予算オーバーを避け、後悔のない家づくりをするための具体的な対策を詳しくご紹介していきます。

なぜ追加費用が発生するのか？

追加費用が発生する理由は、主に以下の3つです。

見積もりに含まれていない費用: 住宅の本体価格以外にかかる「付帯工事費」や「諸費用」は、見積もり書の段階では詳細が不明確なことが多く、後から上乗せされることがあります。
仕様変更による費用: 契約後に「やっぱりこのキッチンにしたい」「外壁の色を変えたい」といった希望が出た場合、その都度、追加費用が発生します。
予期せぬ工事による費用: 土地の地盤が弱かった、解体工事で思わぬ廃材が出た、といった事態は、事前の調査だけでは分からないこともあり、追加工事の費用が発生します。

これらの追加費用を事前に見込んでおくことが、予算管理の鍵となります。

見落としがちな追加費用のチェックリスト

家づくりには、大きく分けて「建物本体費用」「付帯工事費用」「諸費用」の3つのコストがかかります。多くの人が見落としがちなのは、主に「付帯工事費用」と「諸費用」です。

1. 付帯工事費用：建物本体以外にかかる工事

見積もり書に記載されている「建物本体価格」だけでは、家は建ちません。暮らしを始めるまでに必要な工事が、付帯工事です。

解体工事費：
- 見落としポイント: 建て替えの場合、既存の建物の解体費用がかかります。しかし、建物の大きさだけでなく、構造（木造、RC造など）や、廃材の種類、隣地との距離などによって費用が大きく変動します。地中に古い井戸や浄化槽などが埋まっている場合も追加費用が発生します。
- 対策: 契約前に、詳細な現場調査を依頼し、解体費用の見積もりを正確に出してもらいましょう。
地盤改良工事費：
- 見落としポイント: 土地の地盤が弱い場合、家を建てる前に地盤を固める改良工事が必要です。地盤調査は、契約後に行うことが多いため、調査結果次第で費用が大きく変わります。地盤改良工事は、数十万円から数百万円かかることもあり、予算を圧迫する最大の要因になりがちです。
- 対策: 土地の契約前に、過去の地盤調査データを確認したり、簡易的な地盤調査を依頼したりするのも有効です。また、予算に地盤改良工事費の予備費を必ず組み込んでおきましょう。
外構工事費：
- 見落としポイント: 門扉、アプローチ、駐車場、フェンス、庭の植栽など、建物の外側にかかる工事費用です。建物本体の見積もりには含まれていないことがほとんどです。こだわると費用が高くなるため、最初から予算を組んでおきましょう。
- 対策: 予算内で収まるよう、優先順位を決めましょう。たとえば、アプローチの素材をコンクリートにする、フェンスは必要最低限にするなどです。
水道・ガス・電気の引き込み工事費：
- 見落としポイント: 敷地に水道やガスの本管が通っていても、敷地内に引き込む工事費用がかかります。前面道路からの距離が遠い、道路が私道であるなどの場合、費用が高くなることがあります。
- 対策: 契約前に、敷地のインフラ状況をしっかり確認しましょう。
空調・照明工事費：
- 見落としポイント: 照明器具やエアコンの本体代、設置工事費は、建物本体の見積もりから抜けていることがあります。特に、全館空調システムなどを導入する場合は、費用が高額になるため注意が必要です。
- 対策: 照明は自分で手配するのか、設置まで依頼するのかを明確にし、予算を組みましょう。

2. 諸費用：家づくりにかかる税金や手続き費用

家づくりには、工事費用以外にも様々な「諸費用」が発生します。

印紙税： 契約書に貼る収入印紙代です。
登録免許税・司法書士費用： 登記に関する税金や手続き費用です。
不動産取得税： 不動産を取得した際にかかる税金です。
火災保険・地震保険料： 住宅ローンを組む際には、火災保険への加入が必須です。期間や補償内容によって費用が大きく変わります。
住宅ローン諸費用： 事務手数料、保証料、団体信用生命保険料など、借り入れ先によって内訳や金額が異なります。
引っ越し費用・新調する家具・家電費：
- 見落としポイント: マイホーム完成後の引っ越し費用や、新居に合わせて新調するカーテン、家具、家電の費用も忘れてはいけません。
- 対策: これらの費用も含めて、全体の資金計画を立てましょう。

予算オーバーを避けるための具体的な対策

追加費用を予測し、コントロールすることが、予算内で理想の家を建てるための秘訣です。

1. 最初に「全体の予算」を明確にする

家づくりを始める前に、**「住宅購入にかけられる総額」**を明確にしましょう。

予算の決め方: 自己資金（貯蓄）と住宅ローンの借り入れ可能額を合わせ、そこから「諸費用」と「予備費」を引いた金額が、建物本体と付帯工事にかけられる金額の目安になります。
予備費を確保する: 想定外の費用に備えて、総予算の**5〜10%**程度の予備費を見込んでおきましょう。

2. 打ち合わせで「どこまでが標準仕様か」を徹底的に確認

契約前の打ち合わせで、見積もり書のどこまでが標準仕様で、どこからが追加費用になるのかを細かく確認しましょう。

設備: キッチン、お風呂、トイレ、洗面台はどのグレードまでが標準か？
建材: 外壁材、屋根材、床材、ドア、窓のメーカーやグレードは？
工事: 照明・カーテンレールの取り付け、駐車場工事、庭の整地などは含まれているか？

不明な点があれば、納得がいくまで担当者に質問しましょう。

3. 契約前の「詳細見積もり」を求める

「〇〇工事一式」といった大まかな見積もりではなく、一つひとつの項目が明確に分かる詳細見積もりを求めましょう。

見積もり書の比較: 複数の会社から見積もりを取る際は、項目を揃えてもらうことで、比較しやすくなります。
付帯工事費の見積もりも同時に依頼する: 建物本体だけでなく、外構や解体費用など、付帯工事の費用も同時に見積もってもらいましょう。

4. 優先順位を決めておく

「絶対に取り入れたいこだわり」と「妥協できる部分」を明確にしておきましょう。予算内で収まらない場合でも、優先順位が高い項目から優先的に採用することで、後悔を減らすことができます。

「マストリスト」と「ウォントリスト」:
- マストリスト: 家族の健康や安全に関わること、日々の家事動線に関わることなど、絶対に譲れない項目（例：断熱性能、耐震性、食洗機、広々としたリビング）。
- ウォントリスト: 予算に余裕があれば実現したい項目（例：高級なキッチン、全館空調、ウッドデッキ）。

5. 信頼できるパートナーを見つける

予算内で理想の家を建てるためには、信頼できるハウスメーカー、工務店、設計事務所との出会いが不可欠です。