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災害時でも「いつもの暮らし」を守る。〜停電・断水から家族を救う住宅設備の選び方〜

近年、地震や台風などの自然災害が頻発する中で、家づくりにおける「防災」の考え方が大きく変わりつつあります。これまでは「避難所へ行くための準備」が主流でしたが、現在は「災害が起きても、壊れない家で、そのまま住み続ける(在宅避難)」という考え方が主流になっています。

しかし、建物が無事であっても、電気が止まり、水が出なくなれば、生活は一変してしまいます。今回は、設計段階で知っておきたい「停電・断水時に差が出る住宅設備」のリアルな活用法について解説します。

1. 太陽光発電と蓄電池、「自立運転」を使いこなせるか

多くの家で導入されている太陽光発電。しかし、「太陽光パネルがあるから停電しても安心」と思い込むのは危険です。実は、停電時には自動的に電気が使えるようになるわけではなく、手動で「自立運転モード」に切り替える必要がある機種がほとんどです。

  • 蓄電池の重要性:

太陽光発電だけでは、夜間の電気を賄うことができません。そこで重要になるのが蓄電池です。全負荷型(家全体の電気をバックアップするタイプ)か、特定負荷型(リビングのコンセントなど場所を限定するタイプ)かによって、災害時の過ごし方は大きく変わります。

  • 「自立コンセント」の場所を把握する:

設計時に「停電したときに、どのコンセントから電気が取れるようにするか」をあらかじめ決めておく必要があります。冷蔵庫の電源、スマートフォンの充電、そして冬場の暖房器具。これらを想定した配置が、在宅避難の質を左右します。

2. 断水時の命綱、「エコキュート」の意外な活用法

オール電化住宅に欠かせないエコキュート。実はこれ、災害時には「巨大な水瓶(みずがめ)」になることをご存知でしょうか。

一般的な家族向けのエコキュートには、370〜460リットルもの水(お湯)が貯められています。断水が起きた際、このタンクから直接水を取り出すことができるのです。

  • 非常用取水栓の確認:

エコキュートの本体下部には、非常用の取水栓がついています。バケツやホースがあれば、生活用水として数日分を確保できます。

  • 設計時のポイント:

災害時に暗闇の中で取水作業をするのは大変です。エコキュートの設置場所の近くに、非常用持ち出し袋を置くスペースを作ったり、足元を照らすソーラーライトを設置したりする工夫が、本当の意味での「防災設計」と言えます。

3. 「止水栓」の場所が、家を守る二次災害対策になる

水道の「止水栓(元栓)」の位置を把握しておくことは、立派な防災アクションです。

大規模な地震が発生した際、目に見えない床下や壁の中で配管が破損し、水漏れが発生することがあります。そのままにしておくと、建物が浸水し、大切な家具や床材が台無しになってしまいます。

  • 家族全員が「回せる」ように:

止水栓は通常、屋外の地面にあるボックスの中にあります。災害直後に「どこにあるっけ?」と探すのではなく、家族全員が「ここを右に回せば水が止まる」と知っておくことが、二次被害を防ぐ最大の武器になります。

4. 外部立水栓の「配置」が救う、災害時の衛生面

意外と見落とされがちなのが、庭にある「立水栓(外の蛇口)」の配置です。

断水時に給水車が来た際、重い水タンクを運んで家の中に入れるのは重労働です。玄関近くや、道路からアクセスしやすい場所に立水栓があれば、そこを拠点に水の管理がしやすくなります。

また、停電や断水でトイレが流せなくなった際、外で汚れたものを洗ったり、簡易トイレの処理をしたりする場所としても、外の水道が活躍します。防犯面を考慮しつつ、「災害時の活動拠点」として外回りの水道計画を立てるのがプロの視点です。

5. 家具のプロが教える、避難を妨げない「配置のルール」

どれほど設備が立派でも、家具が倒れて避難経路を塞いでしまっては意味がありません。

  • 「寝室」に高い家具を置かない:

寝ている間は無防備です。背の高いタンスや本棚は、寝室には置かないのが基本。どうしても置く場合は、壁にしっかりと下地(木材の補強)を入れてもらい、ネジで固定するようにしましょう。

  • 「収納」に頼りすぎない柔軟性:

備蓄品を床下に詰め込みすぎると、地震で扉が歪んで開かなくなることがあります。分散して収納すること、そして「家具そのものを減らす」という選択も、究極の防災と言えるかもしれません。

まとめ:家は「家族を守る最強の道具」であるべき

家づくりにおける防災とは、決して「特別な設備」を追加することだけではありません。今検討している太陽光発電、エコキュート、水道の配置、そして家具のレイアウト。それらが「もしもの時にどう動くか」を知り、使いこなせるように設計することこそが大切です。

設備はあくまで「道具」です。災害時という極限状態において、その道具が家族の味方になってくれるか、あるいは使い方がわからず宝の持ち腐れになってしまうか。

ぜひ、設計担当者や住宅会社のプロに「停電した時、この設備はどうやって使えばいいですか?」と具体的に問いかけてみてください。その答えの中に、あなたの家族の「安心のカタチ」が見えてくるはずです。


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