罹災(りさい)とは? 罹災証明書の発行で受けられる支援と具体的な取得方法

「罹災(りさい)」とは、災害によって損害を被ることを意味します。
災害の内容や規模、被害の程度などによって、国や都道府県、市区町村から公的な支援を受けられることがあります。そして国や自治体が、「支援の対象になるかどうか」「どの程度の支援を実施するか」などを判断する上で基準にするのが「罹災証明書」です。
詳細については後で触れますが、被災者が申請すると、調査員が現場に出向いて対象家屋の被害認定調査を実施し、被害の程度を認定します。そして、災害による被害の程度を公的に証明する「罹災証明書」が交付されます。
罹災証明書と住まい・生活への公的支援
罹災証明書は、災害による住宅の被害の程度を証明するものです。支援金や災害義援金の受け取り、税金などの減免、仮設住宅への入居申請などの際に必要となります。
罹災証明書の発行手続き
発行の窓口は市区町村です。申請すると、市区町村職員による被害認定調査が行われ、後日、調査結果に基づき罹災証明書が発行されます。
手続には、申請書・身分証明書などが必要になります。詳しくは、お住まいの市区町村にお問い合わせください。
災害に関する証明書は主に3種類
主な名称 | 対象となる災害 | 対象となる建物・家財 | 交付申請先 |
罹災証明書 | 地震、台風、集中豪雨、強風などの自然災害 | 申請者が居住する住宅 | 市区町村 |
被災証明書 | 店舗や工場、物置、自動車など住宅以外の建物・家財 | ||
罹災証明書 | 火災 | 申請者が居住する住宅や所有する建物 | 消防署 |
「証明書の名称や対象の範囲、交付申請先などは自治体によって異なるため、注意が必要です。自身が住む市町村の場合はどうなっているのか、webサイトなどで確認しておきましょう。
住まい・生活への公的支援
被災者生活再建支援法に基づく「被災者生活再建支援金」や、災害救助法に基づく「応急仮設住宅」への入居や住宅の「応急修理制度」などの支援があります。これらを受ける際に、罹災証明書が必要になります。
被災者生活再建支援金
被災者生活再建支援法が適用されると、住宅が全壊するなど著しい被害を受けた世帯は、最大300万円の支援金を受けることができます。
支援金は、住宅の被害程度に応じた「基礎支援金」と住宅の再建方法に応じた「加算支援金」を合わせた額になります。単身世帯はその3/4です。現金で支給(振込)され、使途に制限はありません。
仮設住宅など当面の住まいのあっせん
災害救助法が適用されると、民間賃貸住宅を借り上げた「賃貸型応急住宅」や新たに建設する「建設型応急住宅」への入居が、都道府県や市町村によってあっせんされます。また、公営住宅、UR賃貸住宅、国家公務員宿舎などがあっせんされることもあります。
住宅の応急修理
お住まいの市区町村に災害救助法が適用された場合、半壊した住宅の居室、台所、トイレなど日常生活に必要不可欠な部分の応急的な修理の支援が受けられます。修理限度額は一世帯当たり59万5千円です。資力のない方が対象ですが、大規模半壊では資力を問いません。
また、令和元年8月28日以降に発生した災害では、一部損壊(損害割合10%以上20%未満)の場合にも、一世帯当たり30万円を限度として支援が受けられます。
なお、この支援は、都道府県または市区町村が修理業者に修理作業を委託し、その費用を支払うもので、被災者に費用が支給されるものではありません。
詳しくはお住まいの市区町村に確認してください。
障害物の除去
お住まいの市区町村に災害救助法が適用された場合、住家の全部または一部に土石や竹木等の障害物が運び込まれ、日常生活に支障をきたすような場合、これらの土石や竹木等の除去に対する支援が受けられます。費用の限度額は一世帯当たり13万7千9百円以内です。自力では当該障害物を除去できない方が対象です。
なお、この支援は、都道府県または市区町村が修理業者に修理作業を委託し、その費用を支払うもので、被災者に費用が支給されるものではありません。
詳しくはお住まいの市区町村に確認してください。

罹災証明書で証明される被害程度には認定基準がある
先にも触れましたが、被災者が罹災証明書の交付を申請すると、申請を受けた自治体は「被害認定調査」を実施します。具体的には、役所の担当者が現地調査を通じて経済的被害の程度を認定し、これが罹災証明書に記されることになります。被害程度は、下表で示すとおり6種類に分けられています。
被害認定調査で判定する被害の程度は6種類
被害の程度 | 損害割合 | 認定基準 |
全壊 | 50%以上 | 倒壊、流失、埋没などで、居住のための基本的機能を喪失している場合。また、損壊がはなはだしく、補修による再利用が困難な場合 |
大規模半壊 | 40%以上 50%未満 | 居住のための住居が半壊し、再利用のためには構造耐力において主要な部分などに大規模な補修を要する場合 |
中規模半壊 | 30%以上 40%未満 | 居住のための基本的機能の一部を喪失し、再利用のためには壁・床など室内に面する部分の過半(または相当程度)の補修を要する場合 |
半壊 | 20%以上 30%未満 | 上記「大規模半壊」「中規模半壊」に該当しない半壊の場合 |
準半壊 | 10%以上 20%未満 | 上記「半壊」に満たないが、準じる程度の損傷を受けた場合 |
準半壊未満 (一部損壊) | 10%未満 | 上記「準半壊」に満たない損傷を受けた場合 |
まず注意していただきたいのは、罹災証明書はあくまで被害の程度を証明する書面であって、交付されたからといって必ず各種支援を受けられるとは限らない点です。例えば、上表のなかで被害程度が低い『準半壊』や『準半壊未満』と認定された場合、罹災証明書の交付は受けられても、支援や助成の対象外となることが少なくありません。
かといって、自己判断で罹災証明書の交付申請を見送るのも良くありません。自治体によって支援や助成の範囲が異なるからです。自身では対象外になると思っても、実は支援や助成の対象になることも考えられるのです。
認定基準は、内閣府や各自治体が災害種別などによって細かく規定していますが、罹災証明書の被害認定が実態より低くなっているなど、認定結果に納得いかない場合もあり得ます。このような場合は再調査を依頼できるということも覚えておいてください。
罹災証明書の申請から交付までの流れ
【STEP1】被害状況の撮影(被災者)
まずは住まいの被害状況を撮影します。記録を取っておくと、罹災証明書の交付を受ける際はもちろん、損害保険会社に保険金を請求する際などにも役立ちます。
ただし、負傷などで思うように動けない場合や、倒壊の危険があって屋内に立ち入れない場合なども考えられますから、必須ではありません。無理や危険のない範囲で対処してください。
被害状況を撮影する際のポイント
住まいの被害状況は、スマートフォンやデジカメを使い、屋外(外観)と屋内に分けて撮影するのがベターです。
屋外の被害状況は、下図のように4方向(正面・背面・左側面・右側面)からのカットを撮影しましょう。
浸水被害に遭った場合は、水に浸かった高さを示すカットも撮影しましょう。下図のように、メジャーを当てて測っている様子が分かる引いたカットと、メジャーの目盛りが分かる寄ったカットの2種を押さえておくのがベターです。
屋内の撮影では、リビングや居室、廊下など、被災した場所ごとに空間全体の引いたカットを撮影しましょう。その上で、被災箇所のカットを撮影してください。なお、被災箇所のカットは、被災部分全体を押さえた引いたカットと、詳細が分かる寄ったカットで撮り分けておくのが理想的です。
【STEP2】申請書類の作成・提出(被災者)
申請書は、各自治体のwebサイトからダウンロードできるほか、役所でも入手可能です。また、申請書に添付すべき書類や、役所への提出時に提示を求められる書類もあります。
申請書以外の必要書類は自治体によって異なるので、事前に確認してください。また、避難所暮らしで自宅に取りに行けない、流失・焼失してしまったなどのケースでも柔軟に対応してもらえるはずなので、相談してみましょう。
【STEP3】被害状況の調査・被害の程度の認定(自治体)
申請を受けた自治体は、調査員を現地に派遣し、被害認定調査を実施します。調査員は申請内容と自然災害との因果関係や被害の程度を調べますが、この際【STEP1】で撮影した画像が役立ちます。そして、罹災証明書の交付条件に該当すると判断された場合は、先に解説した6段階のいずれに該当するかを認定します。
【STEP4】罹災証明書の交付(自治体)
【STEP3】で認定した被害程度に沿って罹災証明書が交付されます。窓口で直接受け取るほか、申請時に指定しておいた宛先に郵送してもらえる場合もあります。
罹災証明書を申請して交付されるまでの注意点
【注意点1】申請には期限がある
自治体や災害規模によって異なりますが、罹災証明書の申請には「災害発生日から○カ月」などの期限が設定されます。時間がたつほど災害による被害だという判断が難しくなるためです。期限を過ぎてしまうと、申請を受け付けてもらえなくなるおそれがある点に注意が必要です。
おおむね1~3カ月が目安ですが、過去の大規模災害では、大幅に延長されたケースもあります。実勢に則さないような設定にはならないはずですが、申請には期限があるということ自体は念頭に置いておくべきです。そもそも、被災時には給付や融資などの支援を早期に活用したくなるはずです。早い段階で自治体のwebサイトや窓口で確認しましょう。
【注意点2】交付に時間を要することがある
先に触れたとおり、罹災証明書の申請を受けた自治体は、現地調査を実施して被害の程度を確認します。特に災害規模が大きい場合は申請件数が増えるため、交付に時間がかかるおそれがあります。
「東日本大震災時には、現地調査を簡素化するために航空写真による確認が実施されました。このように、自治体や行政が柔軟に対応してくれる可能性もありますが、ケースバイケースになってしまいます。『交付には一定以上の時間を要する』という前提で、早めに申請するべきと覚えておきましょう。
一般的に、罹災証明書の交付申請時には、申請があったことを証明する書面が交付されます。この書面で支援や救済措置を受けられる場合もあります。
【注意点3】対象は自宅で「交付=支援を受けられる」ではない
冒頭で触れたとおり、罹災証明書の対象となるのは、原則として被災するまで居住していた住まいです。家具・家電や自動車などの家財、自宅とは別に賃借・所有していた店舗や工場などは対象外になることが多い点に注意してください。なお、自宅以外の被害については「被災証明書」を交付申請します。
また、罹災証明書を交付されたからといって必ず支援を受けられるとは限りません。被害程度が軽微と認定された場合は、支援策の対象外とされる可能性があることも覚えておきましょう。
まとめ
近年、台風や大地震による破損や集中豪雨による浸水など、自然災害で住まいや家財が被害を受けるケースが多発していますので、生活再建などのために国や自治体がどんな支援を行っているのかぜひチェックしてみてくださいね。
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